名古屋高等裁判所金沢支部 昭和28年(う)337号 判決
被告人の麻薬取扱者免許証が昭和二十六年十二月末日を以て失効し爾後被告人が麻薬取扱者の免許を有しない者であつたことは争いのないところであつて原判決引用の証拠に依れば被告人は昭和二十五年十月医師を廃業し医学研究のため名古屋市へ転出するに際し本件麻薬類の保管庫を麻薬卸売販売業者である福井市佐佳枝町松下智恵子方に寄託したことは認められるけれども右は保管庫に施錠の儘預け置いたものであつて松下に対し其の麻薬の種類数量等保管庫の内容につき何等報告することなく其の保管庫収納の麻薬類は依然として被告人の管理所持に属したものであり其の後被告人の父が右保管庫を松下方より取戻したるも其の儘福井市の被告人の実家父高志方に留め置いたもので昭和二十七年二月十八日被告人が本件麻薬類を麻薬取締官に提出するまで被告人の管理所持に属していたものであることを認められるから原判決が引用証拠に依り判示第二の麻薬不法所持の事実を認定したことはまことに相当である。論旨は理由がない。
(註 本件は量刑不当により破棄自判)